自宅に帰った綾女は、ゆっくりとその身をお湯に浸していた。
「ふー、生き返る」
当直明けはいつも体が鉛のように重い。とにかく眠りたい。
特に今回は初めて担当を持ったこともあり、いつも以上に疲れた。
綾女の指が唇にふと触れる。なぜ日向はそんなことをしたのだろう。手馴れた仕草からいって、きっと女たらしなのだろう。
「あの顔じゃ、もてるわよね」
綾女はお湯から出る。このまま浸かっていたらうっかり寝てしまう。髪を乾かし、綾女はベッドに入った。吸い込まれるように眠りに落ちていく。
・・綾女
いつもの夢だ。
・・綾女、やっと会えた・・
え?
・・愛している・・
この声は・・
「左近」
綾女は自分の声で目が覚めた。あの夢の声は、間違いなく日向左近のものだった。
「やっと会えたって、どういうこと?」
翌日は休みだったが、綾女は病院へ向かった。
左近は明るい日差しを浴びてゆっくりと体を動かしていた。まずは寝返り。
「あまり動くと傷口が開くわよ」
綾女の声に左近は振り向き、またもや傷の痛みに顔をしかめた。
綾女の格好は短いジャケットに長いタイトスカート。後ろのスリットから白い足が見え隠れする。ジャケットを脱ぐとぴったりとしたTシャツで、スタイルのよさを強調している。
「あなたに聞きたいことがあってきたんだけど」
左近は綾女を見つめた。まっすぐに見る綾女はあの頃も今も変わらない。
「なんだ?」
「私のこと、前から知っていたの?」
左近の瞳が優しくなった。
「ずっと、探していたさ・・。何度も転生したが、いつも会えなかった。でもやっと会えたな」
「転生?生まれ変わりのこと?」
「誰も信じないだろうが、事実だからな。俺はいつも腹を刺されて死んだ。だが今回は、綾女が助けてくれた。これをどう思う?」
「まさか、運命・・と言いたいの?」
「俺たちは、出会うべくして出会った。俺は生きながらえ、綾女はここにいる。そしたら結論はひとつだろう?」
綾女は頭の中がごちゃごちゃになってきた。これは女を口説くための常套手段なのかもしれない。
「綾女」
左近の腕が伸び、綾女の上体を引き寄せる。唇が重なった。
「!!」
綾女は驚き、体は硬直したままだった。熱い唇。角度を変えて何度も重ねられる。
ああ、覚えている・・洞窟で初めて左近と・・。あの時と同じ唇・・。
やっと左近が綾女を開放した。
「今度ははたかないんだな」
その声に綾女は我に返った。顔が火照っている。左近は優しい目で綾女を見つめていた。
- 現代版
- 33 view
左近を助けることでようやく現世で巡り合えた綾女。綾女にとってこんな幸せな運命って無いような気がします。 原作だと自分を助けることで愛するものを失ってしまったので… これからどうなってゆくのか楽しみです☆
左近を助けるといったら、医者しか思い浮かびませんでした・・。この構想はずっとあったんですよ。死なせちゃいけない、綾女が救われない、と。
これからこの2人がどうなるのか、頑張って書いていきます。