翌日、綾女は左近に見送られていた。
「色々、ありがとう」
寂しそうに左近を見る綾女。次に会えるのはいつになるのかわからなかった。
「そのうち東京に行くから。一応所属は警視庁だしな」
綾女を安心させるように左近は言った。
「うん」
左近は綾女を抱き寄せ、唇を重ねる。甘い声が綾女から漏れた。
「その声は今はだめだ」
綾女は恥ずかしそうに笑った。
「そうね、つい・・」
搭乗手続きのアナウンスが流れる。
「もう、行かなきゃ」
綾女は左近の腕を取り、自分からそっと外そうとした。
「?左近?」
離そうとせず、さらに強く抱かれて綾女は左近を見た。切なげな瞳。綾女の困ったような顔を見ると、左近は苦笑して腕を外した。
「すまん・・」
「左近、元気でね。体に気をつけて」
「綾女も・・な」
繋いでいた手がゆっくりと離れていく。綾女は最後にもう一度左近を振り返り、微笑んだ。そして搭乗口に吸い込まれていった。
- 現代版
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