川面をギラギラと日差しが照りつける。
底の浅い川は、水がぬるくなっている。それでも喉を潤すには十分な冷たさだ。
左近が日陰で涼んでいると、綾女が現れた。
「どこにいても暑いな」
「川の近くならいくらかは涼しいだろう」
「・・・かもしれぬ」
綾女は川面に下り、手ぬぐいを水に浸して顔を拭いている。左近は遠目に眺めている。
「・・・」
綾女はチラッと左近を振り返り、左近から見えないところに移った。
そっと左近が身をずらすと、首筋や腕を拭いている。それも恥ずかしげに手早く済ませ、左近を振り返る。
・・・かわいい
左近は不意にそう思った。
男のなりをしていても、そういうところや何気ない仕草は十分恥じらいを持った乙女である。
初めの頃は一切見せないようにしていたが、だんだんと左近も察知できるようになっていた。
少し川上に行けば、小さい滝があった。
日が沈んでから、時々綾女は水浴びをしに行く。
いつもなら用心して足浴だけで済ませるのだが、今日は格別暑い夜だった。
ザブリ・・
綾女の白い体が水に沈む。滝つぼは足がやっとつく深さで、底の水は冷たく気持ちがよい。
水面に浮かび上がり、髪をかきあげる。心地よく体も冷え、ゆっくりと岩場に上がる。
腰ほどもある長い髪が体を隠しているが、少女から成長しつつある姿は、まだ固さを残している蕾。
花開かせるのは自分だ・・。
綾女の姿を影からそっと見ている左近だった。
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