「わぁ・・・」
仕事帰りに少し回り道をし、安土城址のそばを通った綾女。こぼれんばかりに咲き誇る桜を見て、思わず声をあげた。
左近から話には聞いていたが、これほどまでとは思っていなかった。
すでに江藤の丘ではブルーシートが所狭しと敷かれ、新入社員らしき人がダンボールから紙皿やら取り出している。
「左近」
綾女が声をかけると、おう、と手を上げて応える。
「今終わったところだ。今日は金曜だし、宴会客が多いな」
「そうね」
綾女の顔はワクワクしている。
「私たちもお花見しない?」
翌日、綾女は朝からお弁当作りに腕を振るっていた。
並べられた重箱にどんどんおかずが詰め込まれていく。
「こんなに作りすぎだろう?飯は?」
「あら言わなかったっけ。佳代さんたちと一緒にお花見するから、持ち寄りなのよ」
綾女とふたりきりで食べさせてもらう。なーんて妄想を抱いていた左近は、落胆した。
「端の方なんだけどね、きれいな桜が少し離れて立っているのよ。そこはもう龍馬さんが場所取り完了しているの。ほら」
携帯を見せる綾女。そこには桜をバックに大きく龍馬がピースサインをして写っていた。そばには蘭丸も写っている。
「げ、あいつもかよ。いったい何人で花見をするんだ?」
「えっと・・・」
綾女の指が見る見るうちに折られていく。
お昼前から宴会は始まった。
酒が入ると信長は巨大化するため、自制してウーロン茶を飲んでいる。
「おう、綾女。相変わらずきれいだな。これ、お前が作ったのか。うまいな」
絡んできた男は喜平次。左近が睨みつける。まったく意に介さない喜平次。
「ありがとう。喜平次ったらいつも褒めてばっかり」
喜平次のコップにビールを注ぐ綾女。ニコニコして楽しそうだ。時折豪快な笑いが聞こえるのは、龍馬が酔っ払っている証拠。
「飲みすぎないでよ。私あなたを担いで帰れませんからね」
佳代の叱責が飛んでいる。
おおかたおなかもいっぱいになり、酔いも程よく回って、だんだんとお昼寝をする姿が多くなってきた。
「あらあら、風邪引いちゃう」
綾女は数枚用意した毛布をかけて回った。傍を見ると左近も寝ている。
「左近たら」
茶色い髪に花びらが落ちる。
すっかり静かになった中、遠くの宴会の声が聞こえてくる。
綾女はそっと食べ散らかした物を片付け始めた。そして左近にかけた毛布をそっとめくり、その身を滑り込ませた。
ほんの数分か、短かったが寝てしまったようだ。
綾女がふと目を覚ますと左近の腕にしっかりと抱かれており、見つめられていた。
「何?」
言い終えぬ間に唇を奪われた。綾女はそんなことをされると頬を染めてしまう。左近の手がブラウスのボタンをひとつ外し、現れた鎖骨に刻印をつける。
「んっ」
「俺のもの」
左近はいたずらっぽく笑って、綾女を開放した。綾女は恥ずかしそうに外されたボタンをとめた。
間もなく皆が昼寝から覚め、解散となった。
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おはようございま〜す。
さっそく突っ込んでもいいですか?
左近にとって、花は桜じゃなくて綾女でしょう?って(ΦωΦ)ふふふ・・・・
おはようございます。
突っ込んでいいですよ。そのつもりで続編を書いたので、後ほどアップします。