「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

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雪の日

狭い管理事務所の中で、左近は大きく伸びをした。
これでもかというくらいに雪がどんどん降り積もっている安土山。
今日は一人も客が来ない。こんな天気では当然だろう。
「吹雪いてきたわねぇ。早めに閉めましょうか」
おばちゃんの一声で、いつもより1時間早い時間に閉めることにした。
「閉める前に一回りしてきます」
左近はレインコートを着込み、長靴を履いて山を登り始めた。
大手門は遮るものが少ないため、階段が埋もれるほど雪が降り積もっているが、山中に入ると雪が少なくなる。物音のしない静かな空間が広がる。ガサガサとレインコートの擦れる音だけが左近の耳に聞こえる。
誰もいない。
「ん?」
真新しい足跡を見つける。顔を上げると人影がふっと揺れて消えた。左近は歩くスピードを速め、その人影を追う。足跡は八角平のフェンスで途切れ、人影も気配も消えうせていた。
「またか・・」
左近は薄く笑った。ここで亡くなった者は数知れず、時々思い出したように気配を現す。
天主をまわり、下って百々橋口に降りる。たまに無茶な観光客が百々橋から登ろうとする。以前は登れたが、石段が高く観光向きではない。
事務所に戻ると杖やあたりの片づけをし、閉門した。
「お疲れさまね。明日はお休みだから、ゆっくり休んでよ」
おばちゃんは派手な花柄の傘を広げ、暗くなり始めた駐車場へ向かっていった。
「さて、俺は徒歩だ」
安土山を左手に見ながら、左近は歩き始めた。10分ほどで家に着く。
温かい光が玄関に灯っている。綾女も今日は帰りが早かったようだ。
「おかえりなさい。早かったのね」
玄関先で雪を払っていると、扉が開けられて綾女が顔を出した。まだ仕事着のままだ。
「まぁな。綾女も今帰ったところか?」
「そうよ。今買い物してきたものをしまっていたの。大急ぎでご飯を作るわね」
言いながら普段着に着替え、エプロンを着ける。
「お風呂、そろそろ沸くから先に入っていて」
手際よく野菜を洗い、刻む。コンロには鍋が置かれ、出汁が温められていた。炊飯器からは蒸気が出始めている。
「今日は寒いから鍋よ。すぐできるから・・」
左近が忙しく動く綾女を後ろから抱きしめる。うなじにキスをすると、綾女の顔が少し赤くなった。
「なぁに・・?一緒に入りたいの?」
左近は何も言わず、さらにキスをする。
「じゃぁ出たらすぐに食べられるように左近も支度を手伝って。テーブル拭いて、取り皿出して」
言われる前に左近はすべて準備していた。
浴槽にふたりで浸かる。先ほどまでお互いに全身を洗いっこして、綾女は絶え間ないいたずらに体を火照らせていた。
「も・・左近たら・・」
潤んだ目を左近に向ける。左近は余裕たっぷりで綾女を弄っては面白がっている。
お湯の中で互いに素肌を触れ合わせる。明るいところで見る綾女の肌は本当にきれいだった。
のぼせる前にお湯から出て、一足先に綾女は台所に立った。少し冷めた鍋を温めなおす。ご飯もすっかり炊きあがった。
「じゃ、食べましょ。いただきます」
コタツで鍋を食べ始める。綾女が作る食事はいつも優しい味がする、と左近は思った。これが愛情なのだろうか。
話をしながら食事は進む。やがて片付けのために綾女がたつと、左近も一緒に食器を下げてくれた。
片づけをする綾女に、またいたずらを仕掛けていく。服の上から愛撫を繰り返し、綾女は割らないように食器を片付ける。やっと片づけが終わると綾女は我慢できずに左近に抱きついた。
外はしんしんと雪が積もる。それぞれの家は固く扉を閉ざし、団欒の中にある。
そう、この家でも・・・・。


左近と綾女は生まれたままの姿で抱きあい、眠っている。
明け方近くまで激しく睦みあい、やっと満足したのだ。まぁ、左近が満足する頃には綾女はずいぶん体力を消耗していたが・・・。
綾女は黒髪をシーツの上に広げている。その髪を左近は指でくるくると巻き取り、遊んでいた。
なんとも爽快な目覚めである。
左近はそっとベッドを離れ、お風呂の追い炊きスイッチを入れた。戻って綾女のそばにもぐりこむ。
「左近?」
冷えた空気に綾女は目を覚ます。左近はしっかりと綾女を抱きこんだ。
「朝も気持ちがいいものだぞ」
「お風呂?追い炊きしてくれたの、ありがと」
「風呂もそうだけど、これもな・・」
お湯が温まってしばらくし、左近は綾女を抱き上げて浴槽に入った。
「もう、左近たら!朝からなんて」
「嫌だったのか?でもすごく反応していたけどな」
綾女は少し膨れていた。確かに左近の言うように体が反応し、気持ちがよかった。でも思わず出してしまった声が近所に聞こえなかったか心配だった。
「大丈夫だよ(今更ね)」
左近はもう一度綾女にキスをした。

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