「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

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再会10

その晩。
左近の部屋のバスルームで綾女はひそかに息をついた。
もしかして・・たぶん・・おそらく・・・。
期待と不安が入り混じり、綾女を落ち着かなくさせている。あの夏の夜のように、ワインを飲んで気持ちを少し麻痺させた方がいいのかもしれない。
そう考え、バスタブから上がった。
部屋で考えて考え抜いて、体が冷え切るほど悩んで手にしたとっておきの下着。佳代が買いすぎたため、とくれた。どこから足を通すのかわからないようなものだったが、まさか今夜身につけるとは思ってもみなかった。
「やだ・・・」
身につけて鏡に映すと、顔が赤くなるほどだった。あわててパジャマを着込み、ガウンを羽織った。
ソファでは左近がくつろいでワインを開けようとしていた。
「スパークリングワインだ。飲むだろ?」
「うん、いただくわ」
程よく冷えたワインをグラスに注ぐと、細かい泡が立ち上り、甘い香りがはじける。
「改めて、メリークリスマス」
「メリークリスマス」
チン、とかすかにグラスを合わせ、ふたりはゆっくり味わった。
左近は酒が強い。綾女もなかなかのものだが、今夜はいっこうに酔えなかった。
「綾女、受け取って欲しいものがある」
「何かしら」
「目を、閉じて」
言われるがままに綾女は目を閉じた。カパッと音がして、やがて冷たい感触が左手の薬指に触れた。
まさか・・・。
「目を開けていいよ」
綾女の指には、小さくきらめくリングがはめられていた。
「左近、これは・・」
「俺の気持ちだ。いつまでも綾女と共にいたい。受けてくれるか?」
綾女は左手を右手で包み込んだ。
「はい・・」
綾女の黒髪と、左近の茶色の髪が混ざり合う。
唇が幾度となく重なり、熱い吐息が耳元をかすめる。
「綾女、愛している」
「私もよ、左近」
指輪が時折きらめき、それに左近は口づける。愛の証をいくつも散りばめて、左近は綾女を愛した。
綾女の手に左近の手が重なる。やがて強く握り合い、ぶるぶると震えてゆっくり弛緩していった。
汗ばんだ綾女の額にかかった前髪を、左近は指で優しくどかした。現れた額に軽くキスを落とす。綾女は息を整えながら、左近の顔に流れる汗をぬぐった。
そして見つめあい、くすくすと笑い合った。
「風邪、引いちゃうね」
「ああ、一緒に温まろう」
左近は綾女を抱き上げ、バスルームに姿を消していった。
しばらくして綾女の部屋のエアコンは蘭丸が戻したが、綾女はその部屋を解約した。
今は左近とともに同じ部屋を使っており、元の部屋は客間として使われるようになった。
エアコンはその後一度も壊れることがなかったという。

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