その日はそれからふたり、若い男女のカップルが入居した。佳代たちの店が少し大きくなったので、住み込みのアルバイトを雇ったのだ。
「わぁ、オープンテラスもできますね。素敵だわね、陣平」
「そうだね、桔梗」
公衆の面前で軽くキスをしている。
「あのね、左近さん。私たち、少し大きめの部屋ひとつでいいです」
「あら桔梗ちゃん、私たちと一緒ー」
「でしょう?だってぇ、離れたくないんだもん」
二組のカップルのイチャイチャを見ながら、左近は部屋の鍵を渡した。
「あと、俺の部屋だろ。そうすると残りは一部屋か」
「あとは誰だ?」
「んあ?」
左近がクールな目で蘭丸を見ている。
「お前が采配したんだろう。あとは誰がくるんだ?」
「俺が手配したのはこれだけだよ。あー、あいつは来るかわからんが」
手を軽くあげると、蘭丸は自分の部屋にこもってしまった。
「あいつ?あいつって誰だよ」
やがて日も暮れようとした頃、ひとりの人物が呼び鈴を押した。
「はーいはいっと・・おお、やっぱり来たのか。信長」
左近にも確かに信長と聞こえた。
玄関に行くと、犬を連れた細身の青年と蘭丸が立っていた。
「蘭丸。信長を置いていかないでください。さっきまで吠えていて、餌あげました」
シッポフリフリのゴールデンレトリーバー。おとなしくお座りをしている。
「蘭丸、犬、ここで飼うつもりか」
「ああ。庭もずいぶん広いしな。防犯にはいいだろう。ああそうだ、こいつ、さっき俺が言った新人デザイナー。それに犬の信長」
「香澄です。お世話になります」
男にしては華奢でやや背も低い。だが瞳には意志の強さが現れ美形だ。
「信長、天主に行くぞ。俺がデザインしたんだ」
蘭丸は信長を連れて、安土城天主閣のような犬舎まで歩いていった。
「部屋はここです。鍵はこれ。門限は設けていませんが、玄関の鍵は必ず閉めてください。設備の不調があったらすぐに言ってください」
「はい」
鍵を渡すときに手が触れ合った。細い指。左近はドキンとしてしまった。
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こんばんは。
123456記念、新作嬉♪
一瞬、”殿”も一室に入られるのかと思いましたが、わんこ信長に和んでしまいました。
しかもきっと、しっぽふりふりゴールデンは番犬にはなりません(ご近所で、庭からバイク盗難されてもまったく吠えなかったこがいました。)
(番犬にならないことは)、蘭丸君確信犯なのかもしれません。
そして、えっっ、えっっ、香澄さん青年ですか!?
爽やかで男の子っぽいのでしょうか?
・・・・・それともついに「そちら」(どっち?(笑))になるのでしょうか?
気になってしまいます。
続き楽しみですが、無理はなさらないでくださいね~
(長くなって失礼いたしましたm(_ _)m)
こんにちは。
原作では蘭丸が殿を操っていたので、ここでは蘭丸を飼い主にしてみました。シッポフリフリ、かわいいですよ。
香澄さんはどういう人物なのか、楽しみにしていてくださいね。