「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

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再会6

6月15日。梅雨の真っ盛り。
毎年この日は左近の体調が最悪になる。左脇腹の痛みが強いのだ。
龍馬も左の顔面が神経痛のようになる。
蘭丸はみぞおちを痛がる。
信長ー犬ーも頭が痛いらしく、天主(犬小屋)から出てこない。
それぞれの部屋でうんうん唸り、夜明け近くになってやっと治まるという、ふしぎな痛みである。
そしてその痛みは今年も・・・。
「あー、腹いてぇっ」
「顔が、ピリピリするがじゃー」
「クゥゥゥーーーンン」
左近だけはまだ痛みがなかった。
先日相合傘をしてから綾女との距離が縮まり、今日は朝から綾女が部屋にきている。
少し伸びた綾女の髪を触るのが、左近の第一目標になっている。黒くて艶やかなきれいな髪。あの時も綾女はきれいな髪をしていた。
「付き合ってくれないか」
左近のいきなりの申し出に綾女は少し考え、頷いた。
「今日は別に用事もないし、付き合ってもいいけど・・何をするの?出かけるにも雨が降っているよ?」
左近は少し落胆した。
「そういう意味の付き合うじゃなくて」

「俺は綾女が好きなんだ。だからお付き合いして欲しい」
「えっ」
端正な容貌の左近に真剣に見つめられ、顔を赤らめる綾女。
「そんな急に言われて・・でも、私・・・嬉しいかも・・」
わずかに顔を背け、上目遣いで左近を見つめる綾女。
「いいのか?綾女も俺が好きだと、聞こえたぞ」
「うん」
恥ずかしそうに頷く綾女。

「でもいいわ。今日1日付き合ってあげる」
妄想から左近は覚めた。
甘い雰囲気になったら告白しようと目論んでいたのだが、なかなかそういうチャンスには恵まれず、お昼近くになった。
「おなかすかない?」
綾女の言葉に左近はおなかの痛みがないことに気がついた。いつもならただひたすらに耐え忍び、脂汗を流して苦しんでいるはずなのに。
「綾女・・俺・・」
言いながら左近はひとつのことに気がついた。
綾女がそこにいるからだ。
会いたいと強く願っていた綾女がそこにいる。だから辛い思いを蘇らせる痛みも消えたのだと。
「左近」
綾女がそっと左近の手を握った。
「そんなに辛い顔をしないで。今すぐ何か作ってきてあげるから」
左近の思いは、いつ形になるのだろうか。

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