綾女が作ってきたものは、サンドイッチだった。
熱いコーヒーもある。
「ありがとう」
左近が口に入れたとたん、綾女が言った。
「初めて作ったから、あんまり自信はないんだけど」
・・・辛い。ものすごく辛い。
左近はポーカーフェイスを保ちつつ、噛まずにコーヒーで飲み込んだ。綾女も一口かじり、口を押さえて涙目になっている。
「ごめんなさい、マスタードを塗りすぎたみたい。食べないで」
おいしそうに盛られたサンドイッチを、綾女は下げようとした。左近がその手を止める。
「綾女が作ってくれたサンドイッチだ。全部いただくよ」
本当は胃腸薬を飲みたいところだが、左近はかっこをつけすぎた。よせばいいのに全部食べてしまった。
脂汗を流しつつ、それでもポーカーフェイスを保つ左近。流し込んだコーヒーも手伝い、満腹度120%を超えて左近は動けなくなっていた。
「ああ、左近、無理して食べたから・・・ごめんなさい」
泣き顔(辛さで涙が止まらない)の綾女が左近を見下ろしている。あのシーンが脳裏をかすめる。そして胃部を襲う不快感。不快感はだんだんとキリキリと痛みを増してきた。
「左近」
綾女は胃腸薬を持ってきた。
「早く飲んで」
左近の口の中に錠剤を入れる。
「水・・・」
口移しで水を飲ませてもらえるかな、と淡い期待を抱いていた左近だが、薬の箱に水なしでも飲めると大きく書いてあった。
綾女の涙もおさまり、左近のそばについて離れない。30分ほど経つと、薬が効いてきたのか痛みが薄れてきた。
「綾女、もういいよ」
「でも・・」
「綾女が作ってきてくれたことが、俺にはとても嬉しかったんだ。だから食べた」
近くで左近を見つめる綾女。その髪に左近は触れた。そのまま頬に手を滑らせた。わずかに頬を赤らめる綾女・・・。
「綾女が好きだ」
左近の告白。綾女は左近を見つめ、頬の手をそっと外した。
「今度は上手に作るわね。食べてくれてありがとう」
そして部屋を出て行った。
6月15日。綾女がそばにいても腹痛は免れない日だった。
- HIT記念
- 13 view
こんにちわ、おりぼんです。
最後の一文を読んで、会社で笑わないのに苦労しました。
心の中ではこう↓ですが。
☆ギャハハハ!!☆ミヾ(∇≦((ヾ(≧∇≦)〃))≧∇)ノ彡☆バンバン!!
このお話、続くのかな?これで終わりかな?・・・どちらであっても、今回のお話には座布団一枚です。
こんにちは~。
笑いをこらえるおりぼんさんの姿が見えるようです(^皿^)
左近がだんだん3枚目化してきています。本人は2枚目のプライドがあるようですが。
座布団ありがとうございます。特大版ですよね??