その頃綾女は、泣きながら破かれた衣類を縫っていた。
左近が怖かった。男の力の凄まじさを思い知った。
いくら女を捨てたといっても、体はどうしようもなく女だ。それを忘れたくて戦いに没頭している。
左近に押さえつけられた時は怖くてどうしようもなかった。あのまま操を奪われるのかと体が動かなかった。
左近は女としての私を欲しているのだろうか。
手が止まった。
「ならば・・」
縫い上げた衣服をたたみ、綾女は鏡を見た。結っている時は目も吊り気味で凛々しい顔つきだが、髪をほどくと優しげな表情の女性が鏡に映る。髪は艶やかで、香澄の里でもよくきれいだとほめられていた。
懐紙の上に髪がひと房、またひと房と落ちていく。うなじからすっかり髪を切った綾女。女としての未練を断ち切るように、その髪を捨てた。
涙はもう乾いていた。
綾女は道場に向かった。男2人の声が聞こえてくる。
「龍馬は、あいつのことをどう思う」
「考えるよりも先に突っ走るから危ない奴だな。死に場所を求めているようにも見える」
「そうだな」
「俺たちで綾之介殿を止めなければいけないだろう」
「だが、あいつは止めようとするとムキになってさらに飛び出そうとするからな。別の役割を当てておいたほうがいいのかもしれないな」
「しばらく、偵察にまわってもらおう」
綾女はそっと頭を下げ、自室に戻った。
- あの時代
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10000ヒットおめでとうございます!紅梅様のお話はどれも読後に、とても暖かい気持ちになります。これからも、いろんな素適なお話を楽しみにしております。
ありがとうございます。
素敵なお話なんて褒めていただいて嬉しいです。
毎日更新というわけにはいきませんが、あたたかく見守ってくださいね。
僭越ながらリクエストさせて頂こうと思います。。。綾女、左近、綾女の許婚の3人が絡むお話はいかがでしょうか?
(原作では綾女の許婚は香澄消滅で没したようですが..)
さっそくのリクエスト、ありがとうございます。
3人が絡むお話ですね?
近々書かせていただきます。
こんなにも早く快く引き受けて下さって、有難うございます!とても嬉しいです。一人の女性を二人の男性が愛するって、やっぱり一度は憧れます☆
だいたい骨子は考えましたので、あとは少しずつアップしていきます。
ご期待に沿える形になればいいのですが。