鏡に映る綾女は、昨日とは変わって艶やかである。
一緒に食事をとる姿も仲睦まじく、時おり交わす視線も、そばにいる者が微笑ましく思えるほどになっていた。
「左近、雪よ」
「ああ、今年はいつもより早いな」
廊下でふたり降り積もる雪を眺めている姿も、絵姿のように美しい。
「子供たちが雪遊びをする姿も可愛いな」
「ええ」
綾女は庭に降り、積もった雪を手に取った。手のひらで転がし、大小の雪玉を重ねる。
左近も一緒に雪玉を作り、綾女が作った雪だるまの横に並べた。
「左近は手が大きいから、雪だるまも少し大きめね」
冷えた手に息を吹きかけながら綾女が微笑む。その手を優しく左近が包み込んだ。
「あったかい・・」
綾女は自然と左近にすり寄る。左近は気持ちの高ぶりを抑えきれなくなった。
「まだ、日が高いわ・・」
綾女の抗いは声だけ。それも甘くとろけている。
冷えていた肌が朱を帯び、汗ばんでくる。肌を離してから数時間も経っていないのに、左近は綾女を欲していた。
「さすが、忍びの姫だな…。こんなに蕩けて、男を喜ばせている」
「言わないで」
確かに極めてはいないが、口頭で手ほどきを受けたことはある。その時は何のことかわからなかったが、こうして女になると、自然と体が反応する。
声を出さないように指を噛み、堪えている綾女。左近のひと撫でで敏感に反応し、体を震わせて達していく。
こんなに甘美なものだったとは…。
息を荒げてうっとりと左近を見つめる。左近は汗すらかいていない。
「まだまだだな…」
左近は綾女の体を舐めるように見渡した。触れていないのに綾女は甘い吐息が止まらない。
…夕方。部屋の中は熱気と濃厚な香りで満たされていた。
汗でびっしょりになった綾女が言葉もなく倒れ伏している。左近は額にうっすら汗をかいた程度で、綾女の濡れた前髪をそっとかきあげていた。
「綾女、風邪をひくぞ。湯に行く」
何度も達した綾女はほとんど体力がなく、体が起こせない。左近は抱き上げ、湯まで連れて行った。
汗を洗い流し、綾女は力なく左近にもたれかかる。
「この程度で・・恥ずかしい」
「なぁに、回数を重ねればそのうち体力もつく。今宵もまた、な」
綾女はぎょっとして左近を見る。
「もう、もたない・・だめよ」
「忍びだろう?気の循環を教えてやる」
結果、また左近の腕の中で綾女はとろけていくのだった。
- あの時代
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