綾女は体の痛みとだるさを感じ、目を覚ます。
下腹部に鈍痛が走る。
何も身につけていないことに気づき、綾女は散らばっていた夜着をそっとたぐり寄せて羽織った。
そばで眠る左近も見えている範囲は何も身につけていない。
逞しい肩や胸、筋肉のついた腕、割れた腹筋に目をやり、綾女は今更ながら頬を赤く染めた。
この体で、自分を抱いたのだ。
自分のスタイルに意識を向けていなかった綾女は、自分の体が貧弱な気がして身をすくませた。
そっと布団から出ようとすると、左近の腕にからめられて腕の中に収まってしまう。
「行くな」
重なる唇。
「もう、朝よ」
やんわりと抗う綾女。左近は駄々っ子のようにやっと体を起こした。布団が落ち、綾女の目の前に下帯すらつけていない左近が現れた。
「いやぁぁっ」
綾女の声が屋敷中に響き渡…らず、左近によって口を塞がれていた。
「まだ明け方だろう、声を出すな」
口を塞いでいた左近の手を払いのけ、綾女は肩で息をした。
「早く、何か着て。目のやり場に困る」
「あ?ああ、そうか」
左近は手早く下帯をつけ、着物を着た。あれだけ逞しい体なのに着ると痩せて見える。
「綾女は着痩せするたちだな」
着替えた綾女を見て左近が言う。
「着ていると体つきはほっそりしているが、脱ぐとあれだけの体なんだな。今宵も愛でたいものだ」
「まったく…。床を離れたら少しは他のことを考えたらどう?」
綾女は照れで少し拗ねたふりをした。そんな綾女が可愛くて、左近はついつい抱きしめてしまう。
ふたりはともに恋をしはじめていた。
- あの時代
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