白い足がふと動きを止めた。
「左近?」
綾女が怪訝そうにこちらを見ている。俺は綾女の隣に行き、並んで腰を下ろした。
「水浴びか」
「ああ、暑いからな。でもこれで涼しくなった。やっと眠れそうだ」
綾女はそっと夜着の裾を下ろし、足を隠した。
滝のしぶきが心地よい。綾女の髪がしっとりと湿り気を帯びていた。
「私は戻るが、左近はどうする」
立ち上がった綾女が俺を振り向いた。俺も立った。
「戻る。涼んだからな」
綾女が先に歩き、俺が後からついていった。綾女の後姿が以前より華奢に見える。館に着き、別々の部屋に入った。
俺は気配を感じ、ふとため息をついた。
「またか・・」
誰か男の気配がする。綾女を伺っているようだ。俺は自分の気配を消して男の後ろに回った。冷たい刃を男の首に当てる。
「何だ」
男は伊賀の忍びだったが、左近の方が数段技量が上である。男は姿を消した。
「まったく・・こうも毎晩来られては、ちっとも休まらん」
ふと、いい考えが浮かんだ。
- あの時代
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