甘い甘いまどろみの中。
腕の中には綾女が眠る。
しばしの幸せを、あやかしの気配が断ち切った。
それは綾女も感じたようで、起き上がり、夜着を手早く着直す。
「来たか」
「ああ」
背中合わせになり、闇の中目を凝らす。
きらっと妖刀の光がきらめき、断末魔の悲鳴を上げて次々に妖魔が倒れ、消えていく。
朝日が射してきた。龍馬の声が近くでした。
「朝っぱらからうるさいやつだのう・・」
龍馬が綾女の姿を見てしまった。
下ろした髪、隆起した胸元。首筋には俺がつけた紅い華が二つ三つ散らばっている。俺はさりげなくその視線から綾女を庇った。
何も気づかない綾女は龍馬に声をかけようとした。
「左近、あとで話があるんじゃが」
「あ、ああ。あとで伺う。綾・・之介、戻るぞ」
「え?ああ。では龍馬殿、失礼する」
俺は綾女の腕を引っ張り、部屋に戻った。
「左近離せ、痛いじゃないか」
綾女は俺の手を振りほどいた。そしてついたての陰に身を潜め、着替え始めた。俺はそっと覗こうとしたが、綾女に睨まれた。
「覗くな」
「何を今更」
それでも綾女の強い抵抗には逆らわず、部屋を出た。
- あの時代
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