「龍馬殿、入るぞ」
言われることはわかっていたが、話があると言われたからには来ずにいられなかった。
「おう、左近か。入れ」
龍馬は矛を磨いていたが、しまって左近のほうを向いた。
「綾之介殿の怪我はもういいようじゃの」
「ああ、すっかり治っている」
「そうか。左近も看病から外れたなら、今朝のこともある。夜の見張りを頼みたいんじゃが」
「わかった」
「明日の晩から交代で頼む」
俺はうなづいた。すると龍馬が近くに寄ってきた。
「ところで、綾之介殿とはうまくいっているのか?」
俺はつい目を泳がせてしまった。龍馬は真剣な面持ちだ。
「ああ・・」
龍馬はにっこり笑った。
「そうかそうか、それはよかった」
「なぜそのようなことを聞くんだ?」
龍馬は自分の首筋を指した。
「ここよ、綾之介殿の首におんしが付けたんじゃろう?普通ならあんな見えやすいところに付けることはないはずだが、よほど嬉しかったのか??」
やっぱり見えていた。もちろん綾女と色っぽい関係になれて嬉しいが、それよりも伊賀の男衆に対する威嚇でもあった。俺の女に手を出すな・・・。
「今晩はわしが見張りをする。おんしはゆっくり過ごせ」
竜馬はニコニコして矛の手入れをし始めた。
- あの時代
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