「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

  1. あの時代
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伊賀の里5

朝日が昇る頃、綾女は目を覚ました。俺は綾女のそんな様をじっと見つめていた。
「んん・・」
少し身じろぎをして綾女が目を開ける。
「眠れたか」
綾女の真正面で俺が声をかけると、綾女は声も出ず驚いた。それもそのはず、腕枕をされていたからだ。
「な、何をした」
「何もしていないぞ」
綾女は体を起こし、夜着を確かめた。きちんと着ており、帯も緩んでいない。
「何もしていないと言っているのに」
俺はおかしくてたまらなかった。
「本当か?」
綾女が心配そうに聞いてくる。
「そうだな、寝言で俺のことが好きと言ったからお返しはしたが」
綾女は首まで真っ赤になった。いつもなら鼻先で笑って返すような態度だが、身に覚えでもあるのだろう。
「お返しって、何をした」
俺は綾女の両肩を掴み、抱き寄せた。唇を重ねる。綾女の手が空を切った。
「何を、する!」
綾女は怒って睨んでいた。それすらも可愛く見えてしまう。余裕しゃくしゃくの俺に対し、綾女はずっと怒っていた。
その晩、綾女の部屋の障子にはつっかい棒がされていた。普通であれば、床や天井まで仕掛けをするのだが、それひとつだけだった。綾女の戸惑いと期待も感じられる、ささやかな仕掛けだった。
綾女も、俺のことを意識している。
そう解釈した。

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