「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

  1. あの時代
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本当の気持ち25

春の夜から、左近は綾女にしきりと酒を勧めるようになった。
「なぜ私にそんなに飲ませるんだ」
「俺に付き合え、と言っているのだ」
左近は酒が強く、顔色も変わらないままである。自分の量をわきまえており、けして飲みすぎることはしない。綾女はすぐに顔が紅く染まる。
「私が飲むと、すぐに顔が紅くなるからいやなんだ。酔っ払いみたいだろう」
ひとつため息をつき、綾女は続けた。
「それと・・・変になるから」
「変?」
左近はわかったが、わざと聞いた。目元は真剣だが、心の中では、綾女の艶姿が浮かんだ。
「何というか、体が熱くなるし力は抜けるし」
綾女ははっとして口をつぐんだ。
・・言えない、左近の腕が恋しくなるなんて絶対言えない・・
「ま、まぁ、そういうわけだから、あまり勧めないでくれ」
男女の機微では左近が何枚も上手で綾女は翻弄させられるばかりだった。
「そういえば、里の者たちはお前が女だと知っているぞ」
「そうか?さして気にも留めていなかった」
「まったく、自分のことに関しては無関心にもほどがあるな」
「何かあったのか」
左近はため息をついた。
・・里の若い男からの熱い視線を感じないと言うのか、こいつは。まあ俺が一定距離から近づけないようにしているからいいものの、当の本人がこれでは・・
「左近、この頃思っていたが、妙に私についているように感じるが。先も酒を勧めたりして、少々しつこいぞ」
左近はうなだれた。
「本当にお前は、何もわかっていないな。俺がどれだけお前のことを大事に思っているのか、誰にも渡したくないのか」
言いながら綾女を抱きしめる。綾女は左近の想いにやっと気がついた。
「左近、大丈夫だ。私にも左近は大事な存在だ」
「本当か」
綾女は答えず、左近の胸に擦り寄った。左近に呟く。
「これからもずっと一緒。あなただけ」
左近は愛をこめて綾女を抱擁した。

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