「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

  1. あの時代
  2. 162 view

本当の気持ち16

・・この気配・・
綾女は追いながら思い出していた。
・・まさか、ありえない・・
木立の向こうにそれは姿を現した。
「久しぶりだな、影忍」
「お前は、森蘭丸」
瞳の色は紅くなく、ただ普通の青年が立っている。
「おのれ、冥府魔道から蘇ったのか」
綾女の手に小太刀が握られたが妖魔に対する反応はなかった。蘭丸はふっと笑った。
「もはや我は妖魔ではない。しかし実体でもない」
「何をしに来た」
「気づかなんだか。以前のお前ならすぐに察していたものだがな。今はこうして姿を現さぬ限り、気づこうともせなんだ。さびしいの」
蘭丸は口惜しそうに愚痴を並べた。
「答えよ」
綾女がきっと見据えると、蘭丸は声を改めた。
「左近に憑いておったのよ」
「左近に?何ゆえ」
「お前が左近を蘇らせた時、左近は死の淵から無理に引き出されて息をするのもやっとだった。あの世話焼き婆に助けるよう頼まれての、左近の体力を補っていた」
・・そういえば、蘇ったばかりなのに左近は妙に元気だった・・
あ!
綾女は青くなった。
「で、では、あの、あれも見て…」
「ああ、左近との交わいか」
蘭丸はサラッと言ってのけた。
「見てはおったが、そこだけは左近の体力だったな。我は何も手助けはしておらぬ。人間とは奇なるものよの~」
のんびりとした蘭丸。対して綾女は真っ赤になったまま動けなかった。
「青くなったり赤くなったりおぬしも忙しいな。もう我の仕事も終わった。帰るとするか」
「え」
「影忍、いや、綾女。体をいとえよ」
蘭丸は綾女の怒号にも耳を貸さず、爽やかに笑って消えた。
綾女の顔は穏やかだった。
「ありがとうな、蘭丸。おぬしも今の世であれば苦しい思いをせずに済んだものだろうな」
苦しい思い。。。
綾女はふと自分の胸が苦しいことに気がついた。
切なさで苦しかった。
「平和な世であれば、誰も死なずに済んだものを…私はもうこの手で殺めたくない」

あの時代の最近記事

  1. つなぎとめて3

  2. つなぎとめて2

  3. つなぎとめて1

  4. 覚醒3

  5. 覚醒2

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


カテゴリー
アーカイブ