「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

  1. あの時代
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花2

左近が日向に戻って数日。
「お前に縁談の話だ」
いきなり父親=日向の長が話を持ち出してきた。
このような話は左近にとって初めてではない。15歳になった頃からいくつも持ち込まれている。左近はほとほと嫌気がさしていた。
若手を束ねる上忍として偵察もしている左近は、今まで来た縁談相手の顔や素性も調べていた。いずれも好みではなく、気が乗らない相手だった。
「今度はどのような方ですか」
「香澄の姫だ。今までのようにお前が気に入らないからと簡単に断れる相手ではない」
香澄、日向、葉隠れは影三流として互いに均衡を保つため、婚姻関係を結んできていた。左近の母は、葉隠れの出身である。
「先日進之助殿に挨拶に行った折、会っておろう?」
左近は首をわずかにかしげた。そのような女性は見かけなかったが・・・。あえて言うなら、あの黒髪の少女。だが彼女は幼い。
「進之助殿とは年が離れているそうだから、まだ幼い姫だが、まぁそんな大げさに考えるほどの年の差はない」
あの少女が姫だったのか・・。
左近は不思議と心が波立っていた。
年が明け、ひとりの愛らしい姫が左近のもとに来た。
「なにとぞ、よろしくお導きくださいませ」
幼いながらも凛とした声。
「そんなに年が離れているわけでもない、慣れるまで兄のように思ってくれるだけでよいのだ」
「・・・・はい」
きっといろいろと妻としてのことを教えられたのであろう。安堵した声だった。
白い夜着に身を包み、あの美しい髪を背に流して姫は微笑んだ。
「姫の名を・・教えてくれぬか」
「私、綾女と申します」
「俺は左近だ。ふたりだけの時は左近と呼んでほしい」
「はい」
あまりにも愛らしく、左近は思わず綾女を抱きしめる。綾女は強張っており、必死に抑えようとしても体が震えてしまった。
・・まだ綾女は12歳なのだから。

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