共寝をした翌朝。
愛おしさでいっぱいな左近は、ゆったりと深く綾女を愛した。綾女も心のたがを解き放ち、左近に甘えていた。
ふたりとも満たされた気持ちで抱き合って眠っていた。
・・お父様。お母様・・。
幼子の声を聞いた気がして、ふたりは目覚めた。
「いま、呼ばれた気が」
「俺もだ」
顔を見合わせて綾女はくすっと笑った。久しぶりに見る、屈託のない笑顔。左近は嬉しくなって綾女の額にキスをした。
そして今、それは現実となって綾女の腕に抱かれている。
光が当たると茶色く見える髪は、左近譲り。面立ちも左近に似ている。
「この子があの時呼んだのかしら」
「そうかもしれないな」
そのあとも綾女は3人子供を産んだ。一番末は女の子で、綾女に良く似ていた。
「男親が娘を嫁にやりたくない気持ちがよくわかるな」
「そうでしょう?私たちも政略結婚だったから、早く好きな人同士が自由に結ばれる世の中になって欲しいわ」
「俺たちは好きな者同士だよな」
左近の唇が綾女の唇をとらえる。綾女はゆっくりと左近に体を預けていた。
- あの時代
- 62 view
この記事へのコメントはありません。