左近は極秘で綾女と医師の診断を受けた。
「何の心配もありません。おふたりとも健康でいつ子ができてもおかしくありませんよ」
「だがこうして・・」
左近の言葉をさえぎるように、その年配の女医は穏やかに微笑んだ。
「病は気から、と申すでしょう。すべては気持ちの持ちようが、体に関わってくるのです。世継ぎを生まなければという思いが、時に懐妊の妨げになります。あなたは今、世継ぎのことばかり考えているでしょう?」
綾女は頷いた。医師は左近を見た。
「あなたは少し抑えてください。いくら若くても、女性の体がもちませんよ。いいですか、今日から3日間、触れ合いをなくしてください。本当にお互いが求めたくなった時にのみ行うように。そうですね、綾女さんは3日間私と生活をともにしてみましょう。いろいろお話もあるでしょうし」
強引に別居させられたふたり。いくら日向の跡継ぎと言えど、先代から侍医を勤める医師には逆らえなかった。
綾女も左近もそれぞれ3日間別々に過ごした。綾女は不安に思っていることを医師に話した。自分の言葉で言うだけで自然と心が整理できた。左近は時折衝動に襲われるが、綾女がいないことで我慢した。そしてその気持ちを他に回し、精力的に仕事をしていた。
そして3日がたった。
- あの時代
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