喜平次と左近は綾女の隣の部屋で寝ていた。
間もなく左近が部屋に戻ってきた。
「なんだ、早かったじゃないか」
喜平次が茶化すと、左近はあからさまに不機嫌な顔をした。
隣にこいつがいるんじゃ、何もできないだろっ
ありありと文句が左近の顔に浮き出ている。それを見て喜平次が笑った。
「何だ、いつものお前ならとっくに・・」
「お前にはわからないさ」
ぷいっと顔を背け、布団にもぐりこむ左近。
喜平次は頬杖をつき、左近を眺めた。
「ふぅん、そういうことか」
「左近様〜」
「喜平次様〜」
「綾之介様〜[ハート]」
「なんで綾之介だけデカい字になっているんだ?字もピンクだしハートマークもついているじゃないか」
「気にするな。いつものことだ」
綾女の人気ぶりに喜平次は驚いていた。左近はそれにつまらなそうに答えている。当の綾女は戸惑ったように笑みを返している。
「なぜなんだ、私は女なのに」
3人になったとき、疲れたように綾女が呟いた。
「そうだよな、綾女は素敵な女性なのに」
喜平次が綾女の肩に手を回した。
「おい」
左近がムッとした声を出した。綾女は喜平次から身をかわした。
「いきなり、何をするんだ」
言葉は男のようでも、声音は女になっている綾女。左近は焦りを覚えた。
- あの時代
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