「ただいま」
左近が帰ってきた。梓の顔が嬉しそうに輝き、玄関へ走っていく。
「パパー!」
「梓、ただいま。しばらく会わない間にちょっと重くなったな」
左近は片腕で梓を抱き上げた。さすがにもう長髪ではないが、何を着ても似合う。
「おかえり」
「んー・・」
キスをおねだりしてきたが、綾女は止めた。
「だめ。うがい手洗いをしてから。梓を抱っこしちゃったの?」
左近は慌てて梓を綾女に抱かせ、洗面所に入った。
「パパ、いつもママにちゅういされるねー」
梓はリビングにお土産を引きずっていった。
「綾女」
「ん、おかえり」
深くて熱いキス。綾女の瞳がとろける。相変わらず左近のキスには魔法があるようだった。
そして夕食時。
「パパ。ママにもさっきおねがいしたんだけど、おとうとかいもうとがほしいの」
思わずむせこむ左近。
「いきなり、何の話だ」
「桔梗と佳代が教えたらしいのよ」
「綾女はどうなんだ」
「そうね、梓のことを考えるともうひとりいた方が寂しくないかしらねぇ」
「梓はもう一人寝ができるよな」
「ええ、もう2ヶ月・・え?」
左近は優しく微笑んでいたが、その瞳は静かに燃えていた。綾女は左近から目をそらせた。
その晩、久しぶりにふたりは肌を重ねた。綾女は一児の母とは思えないほどだった。愛されるとほのかに色づき、芳香を放つ。左近は深く長く綾女を愛した。
「ずっと好きだよ、綾女」
「私も・・」
そいてふたりはまた愛し合うのであった。
- 現代版
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あの時代を生きた綾女に掴んで欲しかった生き方そのものですね。愛し合って夫婦になり子供ができ… 明るく溌剌とした綾女と左近の恋話は、読後に満ち足りた気持ちになりました。有難うございます!
そうですね。殺伐としたあの時代とは違い、現代ならこのような形になれますね。
ふたりには結ばれてほしいです。