綾女は撮影現場をじっと見ていた。
どうやら左近のヒゲは付け髭らしい。スーツを着崩し、サックスをくわえている。蘭丸とふたりでタキシードを着る。
「かっこいいなぁ・・・」
綾女は頬を染めて見とれていた。ふたりとも美男子の上、背が高い。それにくわえちらりと見せる胸元や腕は程よく筋肉が盛り上がっている。
「かっこいいわよねぇ」
桔梗の声がした。にっこりと笑いかける。
「綾女も来ていたのね」
「うん」
「心配しないで。私は左近のファンだけど、彼氏は蘭丸だから」
「え、付き合っているの?」
思わず出た綾女の声に桔梗はその口を塞いだ。
「そうよ。だから心配御無用。ああ見えて蘭丸は脱ぐと素敵な身体なのよ」
「脱ぐ・・?」
綾女はくらくらした。佳代といい、桔梗といい、今時の女の子は進んでいるというかなんというか。
「そろそろ終わりかな。じゃあ私は向こうで蘭丸を待つから。またね」
桔梗は少し奥の方に歩いていった。
「あ、そういえば」
綾女は携帯の着信履歴を見た。最新に見慣れない番号があった。
「ふふっ」
綾女が微笑む。左近、とアドレスに登録してアイコンをハートにした。
「これでよし・・と」
とたんに左近から電話がかかってきた。あわてて携帯を落としそうになったが耳に当てた。
「はい」
「綾女さん?」
「そうですが」
「今終わったところなんだ。どこにいるの?」
「あ、さっき会ったところ・・」
「わかった。今から行く」
綾女は心臓がバクバクしてきた。
- 現代版
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