「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

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晩夏2

送り出した綾女は父に連絡を取った。まだ帰れないという父に手短に状況を伝え、雪乃の部屋から荷物を出した。かなりの量だ。
車庫に行くと車はなく、兄の単車だけがあった。
「免許取ってから乗っていないけどな・・・」
後部に荷物をくくりつけ、病院に向かった。
雪乃はすでに分娩室に入っていた。
「え、もう生まれるの?」
「初産は長引くんだけどねぇ。あ、荷物ありがとうね」
綾女は母に荷物を手渡した。
「兄さんは立ち会っているの?」
「そうよ。自分が子供を産むみたいな顔して入っていったわよ」
「へー。お父さんはまだ帰れないから家で待っているって」
「あ、車なかったでしょ。どうやって来たの」
「兄さんの単車借りたのよ」
「乗れるの?あんな大きいの」
「一応免許持っているから。何とかなるものよね」
「昔から運動神経はよかったけど・・まぁまぁ」
分娩室から泣き声が聞こえた。
「生まれた・・」
生まれたのは女の子だった。
雪乃は短時間で産みきったが、疲労困憊だった。
「母子ともに問題はありませんよ」
医師がニコニコして説明してくれた。
新生児室に移された赤ちゃんは元気に泣いている。どう贔屓目に見ても一番かわいく見えた。綾女の一家はもともと美形の家系なので、すでにその片鱗を見ているようだった。
「雪乃ちゃん、明日また来るからね」
「うん、ありがとう」
3人は病院の外に出た。
「お前、どうやって来たんだ」
進之助が母と同じことを聞いてきた。
「兄さんの単車を借りちゃった。ごめんね」
「乗れるの?あれに?足届くのかよ」
「届きます。兄さんとは違うわ」
「気をつけて帰れよ。傷つけんなよ」
「はーい」
ひらっと単車にまたがる。ヘルメットをかぶると綾女は手を軽く上げ、帰っていった。
「なんかこう、あそこまで軽々と乗られるとなぁ・・」
「ほら、帰るわよ。車出しなさい」
母に言われ、進之助も車を出した。

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