やっぱり。
シャワーを浴びた綾女は、佳代が持ってきたベビードールを身につけた。下は紐状である。ほとんど透けており、体のラインがはっきりとわかる。
「恥ずかしいけど・・」
寝室から明かりが漏れている。そっと中を見ると、左近の広くたくましい肩が布団から見えた。綾女は手を伸ばし、部屋の電気を消した。
「何で消すんだ」
左近がつけようとしたが、綾女は
「ダメ」
と、つけさせなかった。ベッドサイドの明かりだけがついている。綾女がそっとベッドに入り込もうとすると、いきなり左近が綾女の方を向いた。
「あ!」
綾女は胸を隠した。左近はまじまじとベビードール姿の綾女を見つめる。
「手を、どかしてくれ」
綾女は顔を紅くしながらそっと手を下ろした。左近がベッドから降りる。綾女は恥ずかしさでいっぱいだった。この場から逃げたい。けれど左近の瞳に見入られて、動けなかった。
「佳代に、もらったの・・・。仲直りしなさいって」
左近は自分がどんなに綾女を傷つけたかわかった。今日まで目も合わさず、口も聞かず、寝るところも別にしていたのに、今日になって会話ができ、恥ずかしい思いをしながらこの姿で自分の前に立っている。それにさっき綾女の部屋で見た薬の袋。自己防衛のため飲み始めたんだろう。
そこまで綾女にさせていた自分に罪悪感を強く感じた。
今の自分は綾女を抱けない。
けれど綾女は恥ずかしさでいっぱいになりながらも、この姿でいる。
「この間は済まなかった」
「・・うん」
「もうあんなことはしない」
「・・うん」
「だから今日は・・」
「左近」
綾女の優しい声。
「私に触れて、左近」
「綾女」
綾女は左近の手をとり、自分の頬に当てた。熱を帯びた頬。左近の指が綾女の唇に触れた。綾女の熱い吐息が指をかすめる。綾女は左近の瞳を見つめ、そっと目を閉じた。
- 現代版
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