「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

  1. 現代版
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瑕疵1

俺は母親を知らない。何でも、俺が生まれたときに亡くなったとばあちゃんに聞いた。
父親も若いときに俺が生まれたから、専ら子育てはばあちゃんに任せていた。
二十歳になるかならないかの男が、ひとりで子育てするのは厳しいもんな。
「おばあさんが亡くなられたそうだ。すぐに帰りなさい」
担任から告げられた俺は慌てて家に帰った。
もともと心臓が弱かったばあちゃん。俺はそこで初めて人の死を知った。
「これからは男ひとりでも生活できるようにならないといけないよ」
口癖のようにばあちゃんは繰り返し、俺に家事一切を叩き込んだ。おかげでぬか漬けは得意中の得意だ。父親は何もできないし、これからは父ひとり、子ひとり。俺がしっかりしないと。
「左近君はまだ中学生だよ。これから受験もあるし、誰かいい人いないのかね」
親戚が父親に言っているのが聞こえた。
「あ、俺、大丈夫ですから。家事は身についているんで」
そう退けて数年たった。
受験もクリアし、俺は学業とアルバイトと家事をほぼ完璧にこなしていた。
「じゃ、お先に」
アルバイトが終わり、帰ろうとしたとき、俺は呼び止められた。
「左近くん・・」
同じ学年の綾女だった。あまり話したことはないが同じアルバイトでほぼ毎日顔を合わせている。常に何かに怯えているようで暗い雰囲気を纏わせている。身なりも何となくみすぼらしく、俺は正直言うとあまり関わりあいたくない。
「何?」
面倒だと思いつつも、返事はした。
「私を・・助けて」

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