別室で佳代は綾女の身体を見て息を呑んだ。
打撲痕が数ヶ所もある。いずれも服に隠れて見えないところにあった。治りかけのものもあれば、つい最近ついたと思われるものまで、おそらく常套に行われていたのだろう。顔にも痣が残っており、綾女は髪で顔を隠すようにしていた。
「辛かったね・・」
綾女は俯いたままだった。
「母が・・家を出る前から不在がちになって、もう2年、手近にあるもので殴られてきました。酔うと見境ないんです。お酒のビンや灰皿で殴られて頭を切ったこともあります。病院には行きましたけど、それを知ると俺のせいで怪我をしたのか?お前が悪いからだろ?と、またひどくぶたれました・・」
涙ひとつこぼさず、綾女は淡々と話した。
「私が我慢していればいいと思っていました。本当はとても気が小さくて人の言いなりにしか動けない人ですから」
「あなた・・身体は?ぶたれた他には・・?」
綾女の顔が羞恥で赤くなった。
「ぶたれる、罵られる、殴られるだけなら我慢もできました。でも今朝は許せなかった。実の父があんなことをするなんて」
「まさか・・」
「パジャマを脱がされ、押し倒されました。たまたまそのとき近くの小学生が数人大きな声で歌を歌いながら通ったので、それ以上はなかったんですが・・。でも気づいたら父に包丁を向けている自分がいたんです。私・・そんな自分が惨めで・・」
綾女は大きな瞳から涙を落とした。佳代は黙って綾女をそっと抱きしめた。
「話してくれてありがとうね。辛かったね。もうひとりで悩まなくていいんだよ。みんなが助けてくれるよ」
綾女は佳代にすがりつき、声をあげて泣いた。
「うん、泣きたかったんだよね。いっぱい泣いていいよ」
しばらく綾女は泣き続け、やがて嗚咽もおさまってきた。
「少しおさまった?」
「はい。みっともなくてすみません」
「とりあえず、あした病院に行こう。その傷じゃ痛くて眠れないでしょ。それと左近、そこにいるんでしょ」
部屋の外で様子をうかがっていた左近はびっくりしたが、気まずそうに部屋に入ってきて座った。
「左近は綾女ちゃんと登下校、バイトの行き帰りは必ず一緒にいなさいね。明日は私と病院に行ってくるから」
「あ、ああ・・」
綾女の泣き顔を見てしまった左近は少し顔が赤くなった。
なんだろう・・すげーツボにきた。何ていうか、もうそんな顔はさせたくないって思っちまった・・。
- 現代版
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こんにちわ、おりぼんです。
先日はうれしい・・・まさにサプライズ・プレゼントをありがとうございました。
何かお返しをしたいと思ったのですが、ネタがありませんでした。
すみません(汗
そして、新しいシリーズがはじまりましたね。
先がどうなるのか楽しみです・・・でも、無理せずに更新してくださいね。
なぜここにコメントしたかというと、最後の一文ですぅ。
ツボにきたのは私のほうです(汗
紅梅さんはさりげなく、心をわしづかみにすることをかいてくださる・・・関西ノリでいうと「いけずぅ」と思いました。
おりぼん様、こんにちは。
>プレゼント
いやいや、ほんの気持ちです。喜んでもらえて私も嬉しいです。
ツボ、はまりました?ウフフ・・・。
女の子の笑顔と涙って、男の子のハートに響くのかな、と自分では思っています。左近、頑張れ〜〜。