「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

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瑕疵7

俺は佳代の後ろから綾女の寝顔を見た。
長い睫が印象的で、顔立ちは美人の部類に入る。
「本当に、きれいな子よね・・。もったいない」
ふっくらとした唇がかすかに開き、規則正しい寝息が漏れている。気遣いでき、成績も優秀な自慢の娘なのに、なぜ綾女の父親は暴力を振るうのか。
「左近、父親はどうなの?」
リビングでお茶を注ぎながら佳代が俺に聞いてきた。
「綾女がいなくなっても探そうとしていないよ。飲んでは寝ている。今夜また様子を見てくる」
「気をつけてね」
俺はこっそり綾女の父親を観察していた。佳代に言ったとおり娘を探すこともせず、ただ飲み、酔いつぶれて寝る。そんな毎日だった。
1週間ほどたち、綾女は父親のことを心配しはじめた。
「左近くん、お父さんの様子を見に行きたいの。一緒に行ってくれる?」
「それは・・今はやめたほうがいい」
「どうして?きっとお父さんはお酒ばかり飲んで身体を壊しているわ。それに・・服も取りに行きたいから」
着のみ着のままで来た綾女は、佳代から服を借りていた。それも気にしているのだった。
さすがに服を取ってきてやることもできず、遠くから見るという約束で綾女を連れ出した。
助手席の綾女はいつになく固い表情で青ざめていた。
「やめておくか?」
俺の声に綾女は首を振った。
「大丈夫・・」
消え入りそうな声。膝の上に乗せている手がぎゅっと握りしめられる。近くのコンビニにいったん車を停め、綾女の顔を覗こうとした時、けたたましいサイレンが鳴り消防車が数台通っていった。
「火事?」
綾女がビクンと反応した。
「まさか、お父さん」
綾女は俺の制止も聞かず飛び出していった。俺は慌ててあとを追ったが、綾女は予想以上に足が速く追いつくのに時間がかかった。

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