綾女は佳代に連れられて病院に行った。
佳代は気を使い、女性医師に診察を頼んだ。
医師は淡々と診察をし、顔色も変えなかった。その態度に綾女は安心感を覚えた。
「打撲だけね。骨折はしていない。だけど食事があまり摂れなかったからか、低栄養気味ね」
「今年に入って5kg痩せました」
「そう。夜は眠れる?」
「・・・」
綾女は俯いて首を横に振った。
「眠れば・・うなされます。神経が高ぶって、なかなか寝付けません」
「そうね・・。ごく弱い睡眠導入剤を出しておきます。まずは寝て体を休ませないと食事も摂れないし、先にあなたが参ってしまうから」
「はい」
「また来週、来られるかしら」
医師は佳代に聞いた。佳代は綾女の肩にそっと手を置いて頷いた。
「疲れた?」
車の中で佳代は綾女を見た。綾女は緊張から抜け出して疲れていたが、無理に笑みを作った。
「いえ、大丈夫です。それより貴重なお休みを使わせてしまってすみません」
「いいのよ。帰ったら少し休んだほうがいいわ」
「はい」
帰宅すると左近がちょうど学校から帰ってきたところだった。
「あら、いやに早いじゃないの」
「いつもこんなんだろ?」
左近はわずかに頬を赤くしてそっぽを向いた。綾女が気になってまっすぐ帰ってきたことは佳代には言わない。
でも佳代はお見通しだった。くすっと笑う。
綾女は薬を飲み、静かに身を横たえた。程なく訪れる眠り。佳代は寝顔をじっと見つめていた。
- 現代版
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