泣きながら帰ってくると、左近がすぐに出てきた。
「綾女、どうしたんだ」
「左近・・」
やや興奮している綾女をゆっくり落ち着かせるように、左近は自分の部屋に綾女を入れた。
左近が触れようとすると、過剰に反応する。
暴力的なことをされたのだと察した左近は、綾女に触れぬように自分を抑えた。
やがて綾女は蘭丸との間に起こったことを話しはじめた。
グラスの氷がカランと音を立てた。
綾女は話しおえると、自ら左近の腕に飛び込んだ。
「左近、私、初めてなの。だから、左近でなきゃだめなの」
「無理するな」
「でも、このままだといつ蘭丸に何をされるかわからないもの・・」
綾女は恐れていた。必死に左近にしがみついていた。
綾女の肌が少しずつ現れていく。
眩しいくらいの白い肌は、まだ娘のものであった。初めてのことに細かく震えながらも、けなげなほどに綾女は左近に身を委ねた。
ぎこちなくも痛みに耐え、綾女は左近の背に爪を立てた。
やがてふたりはひとつになり、左近の思いは綾女を満たしていった。
これでよかったのだろうか。
汗ばんだ前髪を指でかきあげながら、左近は綾女の顔を見つめた。
綾女は後悔しないだろうか。俺でよかったのだろうか。
綾女がじっと左近を見つめた。
「後悔はしないわ・・。左近だから、こうなりたかった」
そして微笑んだ。
- 現代版
- 21 view
この記事へのコメントはありません。