その晩。
友人の佳代が綾女の部屋で、綾女の話を聞いていた。
「モテモテね」
「え?」
しょんぼりとしていた綾女は、意外な答えかたをする佳代を見た。
「蘭丸が綾女のことを好きだっていうことは、みんな知っていたわよ。あなた本当に鈍いんだから」
「そうなの?今頃知ったのは私だけ?」
うんうんと頷きながら、佳代は綾女の手首のアザを触った。
「そのお隣の人も、綾女が好きなのよ」
綾女は一瞬顔を赤くしたが、そっぽを向いた。
「違うわ。あの人には彼女がいるもの。夕べ聞いたもん」
「でも彼はいないっていうんでしょ?」
「いるわよ。あんなにルックスいいし、優しいし。きっと、いるのよ」
佳代は綾女の様子を見ながら、確信を持った。
「綾女、彼が好きなのね」
過剰なまでに反応する綾女。
「何を言うの」
「だってさ、そんなに顔を赤くしたりうなだれたり、丸わかりよ。それと、何を聞いて彼女がいるって思ったの?」
綾女は顔を真っ赤にしてボソボソと呟いた。
佳代は聞いて、頷く。
「彼も健全な男子だっていうことよ。今夜はきっと聞こえてこないわよ」
「そうかしら」
- 現代版
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