「おはようございます」
その声に左近は振り返った。
にこやかに微笑む女性と、うつむいている綾女。
「ほら、綾女も挨拶しなさい。私先急ぐから、また今度ね」
そこには綾女と左近が取り残された。
「お、おはようございます・・」
左近を見上げるが、見る間に赤くなる頬を綾女は両手で押さえた。その手首を左近が見つめる。
まだ薄く指の跡が残るその手に、左近はそっと触れた。
「ごめん。まだ痛む?」
「いえっ、平気です」
ますます顔が赤くなる綾女。瞳も潤んできている。
どうしよう・・・本当に好きかも・・・
その表情に左近は見惚れていた。自然に体が動く。
「ん・・・」
綾女の柔らかい唇に、左近の唇が重なった。綾女は驚いて身動きできず、息もできなかった。
「好きだよ、綾女・・」
ゆっくりと唇が離れ、綾女は初めての経験に大きく息を吐き出した。そのまま左近の腕に抱かれる。
「好き・・」
声に出すと、より実感がわいた。綾女は左近の腕にそっと擦り寄るのだった。
- 現代版
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