いつもより体が重い。それでも綾女はたくさん買い物をして帰ってきた。
「ただいま・・・」
荷物を置くと、むしょうに布団が恋しくなった。
「綾女、疲れた顔をしているな」
左近が心配そうに顔を覗き込んだ。諸悪の根源はこの男。綾女はきっと睨み据えた。
この寒いのに、洞窟であんなことやこんなこと、散々綾女を苛めて・・・。
「どれ」
左近が額をくっつける。綾女は動揺してしまった。
「な、なにをっ」
「やっぱり熱があるな」
左近が綾女を抱き上げ、ベッドに腰掛けさせた。パジャマを取り出し、手早く綾女のボタンを外していく。
「自分で着替えるよ」
言いながら、もう体がだるくて仕方がなかった。左近のなすがままに着替えさせられ、うつ伏せに寝かせられる。
「背中、だるいか?」
「うん・・すごく痛いくらいに凝っているの」
左近の手が背中に当てられ、ゆっくり力が加わった。
「ん・・んん」
熱でだるい筋肉がほぐされていく。綾女は熱を出す時、真っ先に背中の痛みが出る。鉄板を背負ったように体が硬くなってしまう。それを左近は知っていて、マッサージを丁寧に施してくれる。
「ここ、一番硬いぞ」
指先でポイントを押され、綾女はうっとりとしていた。肩や腕、首など全身を丁寧に揉みほぐしたあと、数枚湿布が貼られていく。熱をぐんぐん吸い取り、気持ちがいい。
「ありがと・・左近」
そのまま綾女は寝入ってしまった。
翌朝、綾女が元気になったのは、言うまでもない。
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