「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

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縁日

うだるような夏の夕方、どこからか賑わいが聞こえてくる。
私は彼と、縁日に行く約束をしていた。
同級生の佳代や桔梗にも誘われたが、それは口先だけのこと。それぞれ彼と行くので、照れ隠しに言ったまで。
浴衣、というシチュエーションがほんの少し、日常生活を浮き立たせていた。
紺地に蝶を描いた浴衣は少しラメも入っており、自分でもなかなか似合うだろうと、バイト代を奮発して買ったものだ。
「さて」
シャワーで汗を洗い流し、ドレッサーの前に座る。バスタオルを巻いたまま髪を結い上げ、メイクをした。
肌襦袢を着て、ウエストにタオルを当てる。浴衣を羽織り、手早く着付けていく。この日のためにひと月、パジャマを浴衣に代えて練習したのだ。
きゅ・・
帯を結んで出来上がり。
「ふふ、我ながらきれいに着られたわ」
自己満足に浸り、余裕を持って待ち合わせの場所に行った。
「あら、まだみたい」
キョロキョロと辺りを見回すと、何人かの人と目があった。
「遅かったな」
背後から聞き慣れた声がして、振り返ると、そこに彼がいた。約束どおり彼も浴衣を着ていたが、すでに着崩している。逞しい胸が見えて、私は顔が熱くなってしまった。
「何赤くなっているんだ。見慣れているだろうが」
「バカッ、何言うのよっ」
見上げたとたんに軽くキスをされてしまった。まったく油断も隙もない。
「おい、まだ食うのか」
「ん?」
りんご飴を片手に持った私を、彼は呆れたように見た。
「えー、だって夕食食べていないもん」
「お好み焼きに始まって、焼きイカ、たこ焼き、ラムネ、わたあめ、カキ氷、りんご飴。はら壊すぞ」
「大丈夫。あとはチョコバナナでおしまいだから。うん、おいしい」
たいらげて私はチョコバナナを買った。
「よくそんな甘いもの食えるな」
そう、彼はバレンタインでも苦労してチョコを食べたほど、甘いものが苦手。
「そう?私は平気だよ。ん、おいしい」
彼が少し顔を赤くして、私の食べ方を見ていた。
「なに?」
「いや、別に・・・。一気に食えよ、ちびちび食うな」
「そんな一気に食べられないよ。・・・はー、おなかいっぱいになっちゃった。でももったいないなぁ」
「ああ、もう!」
チョコの部分がなくなったバナナを、彼は奪い取って食べてしまった。
「何怒っているのよ。へんなの」
笑う私を彼は見つめて、キスをしてきた。
「チョコがついてた・・」
「甘いもの、苦手じゃないの?」
「綾女の甘さなら大好物だ」
「もう・・」
ふたりで目を合わせて、くすくすと笑い合った。
「この金魚、可愛いね」
ふたりでとった、赤と黒の小さい金魚。
今日はこれから彼の部屋にお泊り。

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