「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

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思いやり

窓からの光が、いつもより鈍い。
左近は身を起こし、カーテンをめくってみた。
「雨か・・」
隣に眠る愛おしい女性が、身じろぎした。
「雨?」
返事の代わりに、髪を撫でる。しっとりとした黒髪はいつ触っても心地がよい。
「今日こそ布団干そうと思ったのに・・・でも仕方ないよね・・」
残念めいた言葉の裏に、諦めと安堵が見え隠れする。やがて女性は身を起こしたが、左近の腕に絡められてベッドの上に逆戻りしてしまった。
「干し物と、花の水遣りはしなくてもいいだろ?その分、俺に時間をくれないか」
「じゃあ寝かせてくれるかな。連日寝不足なのよ・・・」
言うなり、女性は目を閉じた。すぐにやすらかな寝息が聞こえてくる。
「綾女・・」
左近は綾女のパジャマのボタンに手をかけていたが、ひとつため息をつくと手を離した。
「いいさ、ゆっくり眠れよ」
綾女が目を覚ますと、部屋の外から物音がしていた。
「あれ?」
リビングに出ると、そうじをしたかのように小奇麗になっている。そしてキッチンからはいい匂いがしていた。
「起きたか。ぐっすり寝ていたぞ。もう昼だ」
「そうじ、してくれたの?」
左近は笑みを返して鍋の灰汁取りをしていた。
「特製ビーフシチューを作るから、綾女はくつろいでいろ」
「特製?見たい見たい見たいっ」
左近は綾女にキスをし、耳元で囁いた。
「レシピは極秘だからな。こっちに来るなよ?」
「はーい」
ビーフシチューはとてもおいしく、綾女はニコニコしてお代わりをしていた。
「久しぶりに上げ膳据え膳だったわ。ありがとう、左近」
「いつもお前疲れているだろう?雨の日くらいゆっくりしてもいいなと、思っただけだよ」
左近の優しい瞳が綾女をからめとる。綾女は嬉しくなって左近に擦り寄った。
翌朝。
洗濯したシーツをどこに干そうか、家の中をうろうろしている綾女を、左近は愛おしげに眺めるのであった。

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