「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

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綾女への想い

川面の照り返しが強いあの日、俺ははじめて少女に出会った。
ひと目で少女だとわかったが、その年にしては重すぎるものを背負い、必死に耐えていた。
決して好印象ではなかった。
俺の太刀を受け止めた技量には驚いたが、そのくらいでなければ男装する意味もない。
それだけ。
影忍であること、妖刀を使うことで共通点があり、そこから付き合いが始まったのだったな。
破壊的で正義感を振り回し、俺と対等に口を利く。いっぱしのつもりが俺の癇に障り、閉口したものだ。
だが垣間見せる柔らかな表情が、本来の綾女の優しさを思わせ、憐憫を覚えるようになったのはいつからだろうか。
自然、俺も柔らかな表情をするようになった気がする。
雪の蓬莱洞で、俺はとうとう認めた。
綾女を、ひとりの人間として、感情も過去も持ち合わせた人間として認めた。
そして、女であることも。
綾女が必死で見て見ぬ振りをし、捨てようとしたものを、俺は呼び起こした。体が勝手に動き、唇を重ねていた。
俺は、綾女を愛しはじめていた。
綾女には思い切り叩かれてしまったが、そのあと俺を見つめた綾女は、ひとりの恥じらう少女だった。
きっと驚いたことだろう。
すぐに立ち去った綾女。
その出来事は安土で再会するまで俺の心の中でくすぶり続けた。
俺は、綾女を守った。
綾女が俺を見つめる瞳。さまざまな感情が混ざり合い、涙としてこぼれていく様を、俺は見ていた。
流れ出る血も枯れ果て、地に横たわり、一息ごとに命が消えていく。
愛するものを守る、これがひとつの形であり、俺の愛の形じゃないかと自嘲してしまう。
だが、できることなら、綾女とこれからを共に生きたかった。
男と女として、今なら共に歩めるだろうに・・。
丸い月が天空にかかり、それが安土の最後の記憶となった。
誰かが泣いている。
綾女か・・?
「どうした」
俺の腕の中にいる綾女に声をかけ、睫のふちに宿る涙をそっとぬぐう。
奇跡的に助かった命。何日も生死の境をさまよい続けたが、綾女の元に戻ることができた。
目覚めた俺に綾女は、俺の温もりを求めた。
俺の気持ちはとうに決まっている。綾女と添い遂げる。
そして昨日祝言を挙げ、初めて綾女と結ばれることができた。
「綾女」
愛おしさを込めて名を呼ぶ。綾女は体をすり寄せ、俺はしっかりと抱きしめた。
もう、離さない・・。

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