やがて綾女は回復した。
病臥していた時に芽生えた左近への淡い想い。時々思い出しては否定する。
「戯れに過ぎないのに」
左近はいつもどおり皮肉屋で意地悪で綾女を怒らせることは以前と変わらなかった。だがその口ぶり、表情、視線の端々に綾女に対する想いが垣間見えるようになった。
その想いとともに、少しずつ左近の妖刀の力も増してきていた。
「左近、妖刀の光が前に比べると強くなったな」
戦いのあと、綾女がそう言った。左近の力が強くなったため、綾女がそう力を出さなくてもよくなってきていた。
「そうだな・・」
左近も安堵した表情だった。綾女に余計な負担をかけなくて済む。
「何かきっかけがあったのか?」
「そうだな。そういえばお前が回復してからだな」
先を歩いていた左近が振り返り、綾女を見つめる。綾女はドキッとして左近を見返した。射すくめられたように動けなくなる。
「多分・・・な」
ふっと笑ってまた歩き始める左近を綾女は追った。
「何をひとりで笑っているんだ?」
「可能性の問題だ。お前にはまだわからんだろう」
綾女は自分が回復した頃のことを思い出そうとした。何がきっかけだったのか。ふたりきりで過ごした淡い時間。左近に対する想いが芽生えた時期。それしか思い浮かばなかった。
「ええ、まさかそれ?」
思わず口に出してしまった。顔が見る見るうちに赤くなる。そういえば、左近に唇を・・・。
左近には綾女の心境がよくわかった。
「多分な。俺にもそれしか思い当たらん」
左近も照れくさそうに横を向いた。
お互いがお互いを想い合う気持ち。左近の妖刀はそれに反応していた。
- 時を超えた絆
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