それからの綾女は何となくぎこちなかった。左近は迷いが吹っ切れたかのように熱い視線を送ってくる。
「ふー・・・」
ひとつの戦いが終わり、綾女はゆっくり湯に浸かっていた。手足を伸ばし、疲れをほぐした。左近の妖刀はますます光り輝き、以前とは比べ物にならないほどにまで力を発揮していた。綾女もさほど疲れが残らなくなり、体調もいい。細くなっていた身体はしっかりと筋肉もついていた。
「あれでもまだ覚醒していないのか」
綾女は自分の妖刀が覚醒したときのことを思い出した。夜の闇を昼間のように明るくするほどの力。触れなくても力が迸る。
「私が左近の覚醒を握っているのか」
そう思うと気が重くなった。
湯から上がり、部屋に戻ると左近がいた。ひとつだけ敷かれた夜具。
「隣だろう?」
帰れ、と綾女は言った。左近は動じない。
「お前と話がしたくてな」
「何の話だ」
左近が綾女に近づき、後ろから抱きしめた。綾女はとたんに動けなくなる。鼓動が一気に早くなる。
「俺たちの話だ」
綾女のうなじに紅い華を咲かせる左近。綾女は身体を震わせた。
「妖刀の・・ためか」
「違う」
左近は綾女の身体を自分に向けた。
「俺は、お前が好きだ。初めて、愛した」
綾女の頭の中で左近の声が反響している。
「お前がどう思おうがかまわない」
熱い唇が綾女の唇に重なる。激しく、長く重ねられて綾女は苦しくなった。
こんなにも激しいものなのか…。綾女は苦しくて左近の胸を押した。だがその細い腕は左近にからめとられ、丸ごと身体を抱きしめられる。
「は・・あ・・っ」
やっと唇が離れ、綾女は息をついた。左近の腕が優しく背中をさすっていた。
不意に左近に甘えたくなった。そして告白する。
「私も..好き」
それを聞いた左近の愛おしそうな顔。綾女の髪を撫で、身体を撫でる。綾女は腕を伸ばし左近の首に回した。
- 時を超えた絆
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