帰りに買い物をし、綾女は帰宅した。
「ただいまー」
「お、早いな。どうしたんだ」
「いつも遅いから、たまにはこういうのもいいでしょ」
左近は綾女をきゅっと抱きしめた。
「そうだな。お疲れさま」
「ありがと」
左近は優しい。
皮肉っぽくて何を考えているのかわからないところがあるが、出会ったばかりの頃よりずいぶんと柔らかくなった。頑なだった綾女の心をゆっくりと解きほぐし、愛に変えていった。
思えば、綾女と左近が深く愛し合うためには今までの長い時間が必要だったのかもしれない。
綾女は夕食を作りながらそんなことを考えていた。
「不思議なものね・・・」
ふと口をついて出た言葉。左近に対する気持ちは日々増しているような気さえしている。こんなにも長く共にいるのに。
「何か言ったか」
左近が台所を覗く。
「え?ううん、もうできるわよ」
相変わらず気配を感じさせない左近。綾女はわずかに頬を染めてしまった。その表情の変化を左近は見逃さず、綾女のうなじにそっと息を吹きかける。
「や・・」
くすぐったくて綾女は首をすくませた。左近はくすくす笑う。
「もう!」
左近は綾女の弱いところをすべて把握しており、的確に攻めてくる。綾女はやっとかわして夕食を並べ始めた。
- 時を超えた絆
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