「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

  1. 時を超えた絆
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筆7

梅雨が明けると夏の陽射しが眩しくなる。
安土も例外なく暑く、綾女は髪をうっとうしく思っていた。
左近の好みで腰近くまで伸ばしていたが、今年は猛暑。思い切ってすっぱり切り、さばさばした気持ちで帰宅した。
「切っちゃったのか、髪」
とても残念そうに左近が言った。当の左近も肩まで伸ばしている髪をひとくくりにしている。
「でも結べるよ」
「お前の髪は特別なんだよ。特にお前の肌によく合うんだ」
「肌?」
「白い肌に黒い髪、シーツに広がる髪からは綾女の甘い香りが立ち上り、俺はそれを吸い込んで…。その楽しみがなくなった」
綾女は左近の愚痴を聞き流し、買ってきたものを冷蔵庫にしまいこむ。
「聞いているのか」
「う〜ん…」
上の空で生返事をしながら、綾女は米をとぎはじめた。だし汁を温め、味噌汁を作っていく。
「さて、あとはご飯が炊けるまでシャワーしてこよっと。あれ左近、まだいたの」
「いたのじゃないよ。俺が話をしているのに聞いていなかっただろ」
「髪の話でしょ。切っちゃったんだから仕方ないじゃない。終わったことは忘れて、さぁさぁ」
綾女に軽くあしらわれ、左近は肩を落とした。この頃筆もなかなか進まず、第2部ができるまで夜はお預け状態だった。
「先生?書いてくださらないと困りますのよ」
綾女が言い放つ。
「俺も困るんだ。もうかれこれ1週間になるじゃないか」
くすっと綾女が笑った。
「いいじゃない、その分集中できるでしょ。締め切りはあさってよ。お願いしますね」
左近は部屋に向かった。もう我慢の限界を超えそうだった。綾女の顔を見、姿を見るだけでもかなり危ない状態になりそうだった。
「あと10ページか。今夜中に書き上げられそうだ。でも一番面倒くさいシーンなんだよな」
ブツブツ言いながら書きはじめた左近を綾女はそっと見守っていた。

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