1ヶ月後。
第3部の最終回原稿に目を通した綾女は左近を見つめた。
「左近、これ・・」
「ああ。そういう結末にした」
「でもこれじゃ読者が納得しないんじゃない?」
「いいんだ」
左近はゆっくり綾女を抱き寄せた。左近の逞しい肩に身を預ける綾女。作家として家にいることが多い左近だが、昔からの習慣で鍛錬は続けていた。
「確かに妖刀が覚醒していなかったら、俺は死んでいただろうな。綾女がいなければ俺は生きてはいなかった」
はるか昔の記憶を共有するふたり。綾女は左近の胸に擦り寄った。
「私も・・左近がいなければ生きられなかった」
お互いのぬくもりを感じあう。
やがて妖刀伝は発売された。順調な売り上げでサイトへのアクセスも増加していった。
「ねぇ左近、今一番売れている作家だってインタビューをしてみないかって蘭丸が言っているんだけど」
「雑誌に?俺の顔が載るのか?」
「うん。私もインタビュアーとして載るんだって」
玄関が急に騒がしくなった。
「おーい、左近、綾女。行くぞ」
「蘭丸。何の用だよ、朝っぱらから」
「綾女、左近は承諾したんだよな。これからインタビューだよ。安土山でやるぞ」
蘭丸は衣装も持ち込んでいた。昔懐かしい忍びの衣装。なぜか蘭丸も着替えて何枚か写真を撮った。
「ビジュアル的にもいけると思うんだ。そのうちテレビにも出るだろう。俺が宣伝しておいた」
蘭丸は楽しそうに自ら記事を編集していた。
- 時を超えた絆
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