「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

  1. 時を超えた絆
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筆2

他の編集を終えてやっと綾女が戻ったのは、もう夜中だった。
「ただいまぁ」
左近の部屋から明かりが消えていた。寝室を覗くと、広いベッドに左近がひとり、寂しそうに枕を抱えて眠っていた。
「お腹すいたけど、シャワー入って寝ちゃお・・」
シャワーから出て台所に入ると、おにぎりが2個お皿に乗っていた。
”綾女、お疲れ様”
男にしてはきれいな字が出迎えてくれる。
「左近、ありがと」
綾女は小さい声でお礼を言った。
毎朝綾女は左近の腕の中で目を覚ます。幸せを感じる瞬間。だが仕事をはじめてからは時間が不規則で、別々に寝ることも多くなっていた。
「う・・ん」
久しぶりに感じる左近の温もり。眠っている左近を起こしてはいけないと、ソファに横になったはずだが、いつの間にか運ばれてしまったようだ。
「おはよう。今日は休みだろう?」
うきうきした左近の声。
「昨日のうちに左近の原稿が上がっていればお休み取れたのよ・・」
恨めしそうな声で綾女が呟き、体を起こした。
「書いたよ、第1部」
「え?」
「おにぎりの横にあっただろう」
綾女はすぐ台所に行った。昨日は気づかなかったが、分厚い紙の束が置いてあった。
「ありがとう」
その場で読み直すと、見事に誤字も脱字もない。読むだけで臨場感が伝わる文章だった。
「すごいわ、左近」
「やっぱり経験したからな。俺は経験主義なんだ」
うんうんと目を輝かせて聴く綾女に、左近はそっと囁く。
「だから、アレも経験しないと書けないぜ・・?」
いくら鈍くても綾女にはわかった。
「散々経験・・してるでしょっ」
「最近ご無沙汰だから忘れたよ・・」
久しぶりに唇が重なる。それはやわらかくて熱くて、媚薬のようにとろける。
「ダメ・・この原稿を持っていかないと・・仕事が終わらないの」
「持って行けば終わりか?」
「ええ、編集長に出せば終わり・・」
「じゃあ、一緒に行こう」

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