一応左近は作家である。
左近と綾女が生きてきた歴史を綴り、映画化されるまでにヒットした。
だが移り変わりの激しいのは世の常。現在は作家兼主夫になっている。
表立って書くことは少なくなったものの、サイトには変わらずファンが訪れてくれている。だがそれだけでは食べていかれない。
綾女が働き、左近が家事をし、それで現在は成り立っている。
「お」
左近の手が綾女の下着を取り上げた。よほど疲れていたのだろう、左近の目に触れさせないように綾女はいつも自分で管理していたはずだった。綾女はそのように気を使っているが、なぜか左近は下着の色やサイズや枚数もすべて把握している。
「面白みのない色だよなぁ。まぁ、ブラウスに透けることを考えれば仕方ないか。この頃は仕事ばっかりだし」
呟きながら干していく。
「そうだ」
左近はひとつ思いつき、出かけていった。
日が傾き始めた頃、綾女は目を覚ました。
「んー!よく寝た」
頭もすっきりとしている。綾女は起き出し、ベッドルームを出た。ベランダには洗濯物が干してある。
「あ、あらやだ、私ったらっ」
自分の下着をその中に見つけ、綾女は赤くなった。慌てて洗濯物を取り込み、たたみ始めた。自分の下着を取り上げる。
「どうしようかな・・。買い換えようかな・・・。サイズ合わなくなってきちゃった」
自分の胸を見下ろす。十分に存在感を主張している。
後ろから左近の手が伸び、下着をつまみあげた。
「何だ、また大きくなったのか」
「ちょっと、返しなさいよ。左近には関係ないじゃない」
「そうか?」
平然とした左近に綾女は頬を染めた。
「だって・・左近が・・悪いんじゃない」
左近の手から下着を奪い取って綾女は部屋に入ってしまった。
「ちょっとからかいすぎたかな」
左近は自分の洗濯物を持って片付けはじめた。
綾女はタンスの中を整理していた。今合いそうなものは、ちょっと色の濃いものだった。
「ブラウスもちょっと濃いめにして・・・となると、生地が厚くなっちゃうなぁ。まだ暑いのに。じゃあこっちにして・・」
ふと手が止まる。左近と肌を重ねるようになってからサイズが変化してきている。より女性らしく、引き締まるところはきちんとくびれ、肌の艶もよくなった。考えるだけで綾女は体が火照ってしまう。
「仕方ないわよね・・」
整理を終えて綾女は部屋から出た。
- 時を超えた絆
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