「あの、1時に予約したものですが」
「はい」
振り向いた綾女。ふわり、とコロンの香りが漂う。清楚な美しさに、声をかけた若い男性は黙ってしまった。
「ちょっとお待ちくださいね。担当がそろそろ戻りますから」
「あの、もしかしたら綾女さんですか」
「はい・・そうですが」
「やっぱり。きれいな人だ」
男性数人に囲まれ、綾女は戸惑った。その様子を左近は見つけ、足早に歩いてきた。
「なにか?」
「左近。こちら、13時から見学の方よ・・」
ほっとした声と表情の綾女。左近は優しく微笑んだ。
帰る道々、左近は綾女を想っていた。
午後から見学の男性たちは、左近のサイトのファンだった。左近本人や綾女に実際に会えてとても嬉しがっていた。雑誌やテレビにも顔を出していたため、ネットを通じても顔写真が流れていた。
「良し悪しだな」
たまたま今回は好意的な人物だったが、悪意を持った人物ならば綾女を危険な目にあわせていたかもしれない。
なんにしても綾女は魅力的すぎる・・・。
「ただいま」
左近の声にエプロンをつけた綾女が台所から出てきた。
「おかえり。んっ・・」
左近は綾女を抱きしめた。綾女はもがいた。
「やっ、左近、お鍋焦げちゃうよ」
あわてて火を止める綾女をそのまま左近は抱き上げ、寝室に連れ去った。
- 時を超えた絆
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