ほんの些細なことだった。
「もう、少しは私の体のことも考えてよ」
「俺の体のこともわかってくれよ」
あまり乗り気でない綾女を宥めつつ、左近は欲しがった。口では拒んでも、慣らされた体は左近を受け入れてしまう。
やがて綾女は意識を手放し、左近は綾女を抱きこんで眠りについた。
朝。
綾女は柔らかいものを抱きしめていることに気づいた。
「何かしら」
目を開けると、そこには寝息を立てている自分がいる。普段見ない角度から自分を眺める。
「やっぱり私って自分で言うのもなんだけど、きれいよねぇ・・・」
そう呟いた声の低さに綾女は唖然とした。
「え?今喋ったのは私?今の声は?え、でも私はそこで寝てる?」
起き上がり、体を見る。筋肉質の逞しい体。そして茶色の髪。
「か、鏡」
ドレッサーの大きな鏡を見る。そこには驚いた顔の・・・左近がいた。
「きゃあああああああ!」
男の金切り声は、とても近所迷惑だ。ベッドに寝ていた綾女の姿をした人物は飛び起きた。
「な、なんだよ」
そして鏡の前の自分の姿を見て驚いた。
「お、俺?何で俺がそこに?」
先ほどの綾女の行動と同じで、体を見て髪を見て鏡の前に来た。
鏡に映ったのは、驚いた顔の綾女。
「入れ・・替わった・・・?」
- 時を超えた絆
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