「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

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君を慕いて・・4

安土襲撃前夜。
綾女は冬に訪れた鳳来洞の出来事を思い出していた。
初めて触れた男の体温。
綾女の指がそっと自分の唇に触れた。
「どうした、綾之介殿」
刃の手入れをしていた龍馬が問いかける。
「いや、不思議なものだな。今宵はいやに昔のことを思い出すのだ。人は、よく死が近くなると昔のことを思い出すらしいが、私もそうなのかもしれないな」
綾女は少し甘くなった顔を引き締めると安土城を見上げた。
「襲撃は、明日だな」
「うむ」
龍馬もうなづいた。
葉隠れに来た当初、綾女は男装をしていたがまだまだ少年のようだった。小童という言葉がよく似合った。その小童に龍馬の妹の桔梗がほれ込んでしまったのだが・・。
葉隠れを出発する間際に、綾女は桔梗に本当のことを話した。
「桔梗さん、私は実は女なのです」
桔梗は何も言わなかった。少し沈黙が流れた。
「やはり、そうでしたか」
ため息とともに桔梗は呟いた。
「私、うすうす感じていました。女の方だとわかったときも、不思議と落胆はしなかったのです。それよりも強くて優しい綾之介様に憧れているのです。私もあのように強くなれば、少しはこの里を守ることができると思うのです」
桔梗はまっすぐに綾女を見ていた。
「私のようになってはいけません」
「なぜ・・です?」
「私もあなたのように、兄がいました。でも里を全滅させられた夜、この小太刀を預かったのです。強くならなくては、性も偽らなくてはならなかった。あなたにはそうなってほしくないからです」
桔梗は綾女の手をとった。
「そうですね・・。でも私だけではありませんよ。兄も左近様も綾之介様の本当の姿を知っています。特に左近様」
「え?」
桔梗はくすっと笑った。
「いえ・・。ご無事でお戻りくださいませね」
それから鳳来洞での出来事。桔梗は左近の綾女に対する気持ちを知っていたのだった。

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