「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

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君を慕いて・・6

夜も更け、その場は解散となった。
「綾之介殿」
足早に自室へ戻ろうとした綾女を、高久が呼び止めた。
「同郷の方に会えるとは奇遇です。少し話をしませんか」
高久は自室へ綾女を招きいれた。綾女はできれば縁側で話を済ませたかったのだが、高久の招きに応じた。
世間話を少ししたあと、高久はじっと綾女を見つめた。
「何か?」
「香澄には綾之介という名の者はいなかったはずと思っていました。あなたは、綾女ですね」
「・・はい」
高久の目が柔らかくなる。
「ここでまた会えるとは思ってもみなかった。あの別れが最期だと思っていましたから」
「あ、兄は・・兄上はどうなったのです」
「私を庇い、あの化け物にやられてしまいました。私も深手を負っていたのですが」
高久は左腕を捲り上げた。あるはずの肘から先がなかった。すぐに袖を下ろし、言葉を続けた。
「進之助は、綾女が待っているから早く行けと・・。あなたに会うまでに長い時間がかかりました」
「高久様・・」
綾女はぽろぽろと涙を流した。高久は、綾女を見つめていた。
「綺麗になった・・。まだ私はあなたの許婚ですか?」
綾女の涙は再会の嬉しさの涙ではないことを、高久は見抜いていた。男装に身をやつし、綾之介と名乗っていること、綾女の美しさは恋をしている美しさだということ・・・。彼女はまだ自覚していないが、その相手が左近だということ。
「夜も更けてまいりましたので、私は失礼します」
綾女は逃げるようにその場を立ち去った。

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