「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

  1. あの時代
  2. 146 view

本当の気持ち18

翌朝、綾女は元気いっぱいに回復していた。
「見回りに行ってくる」
足取りも軽く、嬉々としている。
思えば半年振りの山駆けである。信濃の館でおとなしくし、戻ってくると左近に朝までいたぶられ。運動不足になっていたと思っていた。
「動いていないのに体が軽い。何故だろう」
「簡単なことだ。半年分の運動不足を左近との夜で解消しているからな」
「蘭丸。帰ったのではなかったのか」
「お前たちのやり取りが面白くてな。まだしばらくいることにした」
「いい加減だな」
「まあいいではないか」
駆けながら息も乱れず綾女は話をしていた。
「戻ったぞ、どこも変わりはなかった」
きらきらした表情で綾女が戻ると、左近はひげを剃っていた。
「何をしている?」
「見てわかるだろう、ひげを剃っている」
「ほおー」
ジョリジョリと剃っていく様を、綾女はじっと見ていた。
「左近、ひげが生えるんだな」
「当たり前だろう、いくつだと思っているんだ」
左近はあきれたように剃り終わった肌を水で改めた。
「いくつなんだ?」
「お前はいくつになった」
「私は18だ」
「そうか、18か。それよりは上だ」
左近は綾女をはぐらかし、外に出て行った。
「私より年上なんて、当たり前じゃないか。あれこれ意地悪で人をたぶらかして。どんな人生を送ればあんな意地悪になれるものか」
綾女はふと昔聞いた日向の里を思い起こした。
冷徹なほど実力主義の社会。その中で育てば、余計な情など持つはずもなかった。感情を交えては忍びは成り立たない。香澄の里とは境遇が違っていた。
・・でも左近は限りなく優しい面を持っている。私はそこに惹かれている・・
「あやつの面構え、確かに変わった。今は男として自信に溢れた顔つきをしている。以前の女々しさはなくなったな」
「蘭丸。おぬし、左近に憑いているのであろう?」
「さて。どうかな」
蘭丸は笑った。

あの時代の最近記事

  1. つなぎとめて3

  2. つなぎとめて2

  3. つなぎとめて1

  4. 覚醒3

  5. 覚醒2

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


カテゴリー
アーカイブ