暗い闇の中、私は手を伸ばしていた。
傷ついた左近を庇って私は地面に叩きつけられた。蘭丸の一撃は身体を砕くような強い衝撃だった。とっさに出た行動。その瞬間、私の周りは闇に包まれた。
どこまで行っても何も見えない。
左近は無事だろうか・・。そればかりが気になる。
不意に手を誰かがつかんだ。私はその手に委ね、光の世界に連れ戻された。
意識が戻るとともに息もつかないほどの痛みが綾女を襲った。
「う、うう・・」
声と言えばうめき声だけしか出ない。
「気がついたか」
真正面に会いたかった人がいた。
「さ、こん・・」
その一言すら発するのがやっと。左近も上半身を包帯で巻いており、痛々しい姿である。それでも優しい瞳で綾女を見つめている。
「綾女」
左近の指がそっと綾女の手に触れる。ひと時の甘い時間。
- あの時代
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